戦術シミュレーションゲーム
こう言うと、ものすごーく難しいゲームに思えます。
特に、昨今の戦術・戦略級シミュレーションゲームは複雑化の一途を辿っており、初心者が手を出せるゲームは数少なく、プレイしてみてもすぐに投げ出してしまい、嫌になってしまう人も多いようです。
ですが、「戦術シミュレーションゲーム」 の基本は、「将棋」 や 「チェス」 と変わりません。
マス目上に駒(コマ)を置いて、交互に動かし、相手のコマを取ったり、相手の陣地を取ったりして勝利を目指すと言うものです。
じっくりと考えながらプレイできるので、忙しいゲームが苦手な人にも向いていますね。
ここでは、その「戦術シミュレーションゲーム」の基本的なルールを、初心者の方向けに解説します。
【ユニット(コマ)の相性と攻撃】
戦術シミュレーションゲームの基本は、マスの上に置かれたコマを動かして、相手のコマを攻撃して取り除いて行きながら、目標(敵の全滅や特定地点への移動など)を達成するものです。
前述したように、その最も基本的なところは「将棋」や「チェス」に似ています。
シミュレーションゲーム(SLG)では一般に、このコマを 「ユニット」 と言います。
ユニットにも様々な種類があり、兵士や戦車、戦闘機や戦艦などが存在し、それぞれに性能が異なります。
たとえば、戦車は兵士よりも強いですが、爆撃機による空からの攻撃には弱いです。
しかし、爆撃機などの飛行ユニットは、対空ミサイルを持つユニットには弱くなります。
ですが、対空ミサイルの発射器は、戦車には弱いです。
このように、ユニット同士には相性があり、その相性をうまく考えて、自分が有利になるユニットで相手を攻撃し、こちらが不利になる敵ユニットから攻撃を受けないようにする訳ですね。
上記の説明は「現代兵器」を使って戦うゲームの場合ですが、ゲームによっては騎士や弓兵などが登場するもの、ロボットが戦うものなどもあります。
ですが、どのゲームでも基本となるのは、「敵よりも有利なユニットで攻撃をする」 ことです。
【占領と補給】
戦術シミュレーションゲームの多くには、「占領」 という要素があります。
占領はマップ上の基地や都市、空港など、戦略上の拠点となる場所を自分のものにすることで、占領した拠点では燃料や弾丸の補給、ダメージの回復などが行えるのが普通です。
多くのゲームでは、移動や攻撃を行うごとに燃料やエネルギー、弾丸などを消費します。
なくなってしまえばもちろん戦えませんから、そうなる前に拠点で補給をする必要がありますが、最前線の基地や都市を占領しておけば、後方の拠点まで戻らなくて済む訳ですね。
また、一般的な戦術シミュレーションでは、「都市」を占領することで、収入を増やすことも出来ます。
収入が増えれば資金を使って新しいユニットの生産などが行えます。
ただ、近代戦をメインとする多くのシミュレーションゲームでは、都市は「歩兵」でなければ占領できません!
しかし、「歩兵」は非常に弱く、移動力も低いのが普通です。
そのため、いかに歩兵を守りながら進軍するか、いかに歩兵を早く前線に運ぶかも、多くの戦術シミュレーションゲームのポイントの一つとなっています。
歩兵を運ぶための「輸送用」ユニットが存在するゲームも多いです。
トラックや輸送機などに、歩兵を「搭載」することで、高速に移動させることが出来る訳ですね。
ゲームによっては、歩兵以外を搭載して運べるユニットが存在することもあります。
代表的なものでは、航空機を搭載できる「空母」などです。

【地形効果 と ZOC】
ほぼ全ての戦術シミュレーションゲームに備わっている要素が、この 「地形効果」 と 「ZOC」 です。
地形効果とは、そのユニットがいる「地形」によって守備力がアップするというもので、たとえば平地のような何もない地形では相手の攻撃をそのまま受けてしまいますが、街や森の中など障害物がある場所では、身を隠せるぶん受けるダメージが減る訳ですね。
この、地形から受ける防御効果を 「地形効果」 と言います。
攻撃を受ける可能性のある場所を移動する時は、できるだけ森や山、建物などの、「地形効果」 を期待できる場所にユニットを置く方が有利となります。

ZOC とは、「Zone Of Control(ゾーンオブ・コントロール)」 の略で、「支配地域」という意味です。
略して「ZOC(ゾック)」と呼ばれます。
これはユニットがいるマスの周囲のマスのことで、この部分に敵のユニットが入り込むと、その時点で移動が出来なくなってしまうというルールです。
敵のユニットに接した時点で、その敵の妨害によって、それ以上は移動できなくなる訳ですね。
敵がいるのに素通りして向こう側に行くことは出来ないルールです。

ユニットは、隣接したマスに ZOC を持ちます。
ですので、右のようにユニットを並べることで、敵がそこを通過できない「壁」を作ることも出来ます。
もちろんユニットが破壊されれば、そのユニットの ZOC はなくなってしまいますから、ZOC で壁を作っていても絶対に突破されないと言う訳ではありません。

ZOC をうまく使う戦術は、シミュレーションゲームの大きなポイントになります。
ZOC はほとんどの戦術シミュレーションゲームにありますが、「自分が攻撃できない相手には ZOC がない」 という場合も多いです。
たとえば、戦車は空には攻撃できませんから、戦闘機は戦車がいても、その上空を問題なく通過できたりします。
つまりこの場合、「戦車は戦闘機に対する ZOC を持っていない」 という訳です。
弾切れによって攻撃不可能になり、そのために ZOC がなくなるというケースもあります。
ZOC と 地形効果 は戦術シミュレーションゲームの大きなポイントです!
うまく利用して戦闘を有利に展開しましょう!
【索敵】
この「索敵ルール」は、あるゲームとないゲームがあります。
索敵ルールがある場合、味方のユニットの周囲しか見ることが出来ません。
索敵範囲外の場所は一般的に暗く表示され、地形は見えますがそこに敵ユニットがいても見ることが出来ず、移動してみると敵がいてビックリ、という場合があったりします。
見える範囲(索敵範囲)はユニットによって異なり、たとえば「偵察車」のような索敵を得意とするユニットだと、かなり広範囲を見ることが出来ます。

一般的に、索敵していない(見えていない)敵ユニットのいる場所に突っ込むと、一方的に反撃を受けてしまう「奇襲」状態になります。
ですから敵がいそうな場所を移動する時は、索敵範囲の広いユニットで慎重に敵を確認しながら進むのが基本ですね。
逆に、相手に見えていなさそうな場所にユニットを置いておき、突っ込んできた敵に奇襲攻撃するのを狙う、という戦術もあります。
現代戦のゲームの場合、「潜水艦」のような索敵しづらいユニットや、「早期警戒機」 といった 航空機など特定の相手の索敵に優れたユニットが登場することもあります。
ただ、この「索敵ルール」は上級者向けのルールなので、「なし」に出来るゲームや、最初から索敵がないゲームも多いです。
【航空機、艦船】
戦術シミュレーションゲームの多くに、陸上以外を進むユニットが登場します。
空を飛ぶ飛行機や、海を進む船のユニットですね。
航空機のユニットは空を飛ぶので、地形を無視して遠距離まで移動できます!
しかし航空機、たとえば戦闘機や爆撃機などは、一般的に 「空港」 でしか補給が行えません。
しかも、飛んでいるだけで燃料を消費していきます。
そして、燃料がなくなると墜落します!
ですから航空機は、定期的に空港に戻って補給を受けなければならない訳ですね。
例外的に、空港以外に着陸できたり、地上に着陸して墜落するのを防げる 「ヘリコプター」や「VTOL機(垂直離着陸機)」が登場するゲームもあります。
ファンタジーの世界が舞台のゲームでは飛行機は登場しませんが、代わりにドラゴンやペガサスなどの飛行ユニットが登場する場合が多く、やはりほとんどのゲームで空を飛ぶユニットは存在します。

「艦船」 は、海を進むユニットですね。 戦艦、駆逐艦などです。
航空機を搭載し、空港の代わりとして運用できる 「空母」 が登場することも多いです。
艦船ユニットは港で補給などを行います。
一般的に、非常に高い攻撃力と防御力を持つ反面、コストが高く、陸地には移動できないので、活動地域も限られます。
【勝利】
そのマップ(ステージ、面)の目的を達成することで、戦術シミュレーションゲームは勝利となります。
一般的に、敵を全滅させるか、敵の「首都」や「司令部」などの拠点を占領することが勝利条件となっている場合が多いです。
ゲームによっては、「ボスを倒す」のが目的の場合もあります。
首都や司令部を占領するのが目的の場合は、普通の都市を占領するのと同じように、「歩兵」で占領を行わなくてはなりません。
よって、歩兵を敵拠点近くまで進軍させなければいけません。
ユニットの「生産」が出来るゲームでは、敵の首都や司令部では敵ユニットがどんどん生産されてくるので、敵を倒しつつ、生産されないよう(生産されたユニットが出てこれないよう)敵の拠点の周りを味方ユニットでふさいでいかなくてはなりません。
この首都・司令部の攻防が、戦術シミュレーションゲームの一つのポイントでもあるでしょう。
生産のないゲームでは、普通に敵を全滅させれば OK ですけどね。

以上が一般的な戦術シミュレーションゲームのルールを紹介です。
しかし、実際にはゲームによって様々なローカルルールが存在します。
生産がまったくないゲーム、マップのクリア後だけに生産ができるゲーム、経験値を貯めてユニットをレベルアップして、さらに上位のユニットに進化させられるゲーム。
中には、天候や時間の経過が存在する複雑なゲームも存在します。
ただ、基本的なゲーム進行については、このページの説明で理解できるはずです。
「戦術シミュレーションゲーム」はじっくりと考えながらプレイできるゲームであり、忙しい操作は必要ありません。
また、「思考型」のゲームですが、基本さえわかれば決して難しいものではありません!(ゲームにもよるけど・・・)
ゲームが苦手な人も、ぜひ一度チャレンジしてみてください!